2946.~時には数学の話~
2018/09/21
2946.~時には数学の話~
「知的障害・発達障害をもつ生徒さんの 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック・発達支援教室 Elephas(エレファース)
発達支援教室エレファースでは、療育の毎日のようすをエレファースブログでご紹介しています。それを広く皆さまと共有できますように、本ブログでは Elephasブログにワンポイントメッセージを加えさせていただいています。
・・・・明るく、楽しく、さわやかに・・・日々を大切に過ごすためのささやかな糧となればと思います。
~今日のElephasブログ:「虚数?複素数?」(9月21日)~
秋津教室の山下です。
私立中3年のN君。学校の数学で高1の範囲を先行し授業で複素数が出て来たとか。教科書もなく新しい話が板書でどんどん進んで行くらしい。
さて複素数についてどう伝えるか,なぜこいつを勉強する必要があるのか?
最初の切り口として持ち出したのは2次方程式。つまり解の判別式で√の中身が負(マイナス)になった時の処理について紹介しようという訳です。じゃあ,2次方程式はどんなきっかけで使われるようになったのか?
今度は面積を引き合いに出します。四角い土地の広さを考える時に縦と横の長さを,それぞれどの位の長さにすれば良いかを古代人も考えていました。初期の頃は,この手の問題を解くのに定規とコンパスを使って解いていたようですが,その内,計算で解くツールとして発達したのが2次方程式です。
こんな話から始めたのでN君は最初ちょっと戸惑っていましたが,2次方程式から解の判別式に話を進めると,その顔に納得の色が現れました。
解の判別式が負になってしまう2次方程式は当初,研究者の間でも「解けない」=「無意味」で片づけられていましたが,解の公式が確立され,その関心が2次から3次へと移って行き,3次方程式の公式を考えている内に研究者は2次の判別式が負になる場合もしっかり考えなければならないことに気付きました。そこで思い付いたのが,2乗して負の数になる空想(想像上)の新しい「数」の導入,これが「虚数」です。そして,こいつと実数の「合わせ技」が複素数で,ここまで話を広げると,どんな2次方程式も解けるんです!
この流れの解説だと話がちょっと長くなりがちなのですが,そこは勘の良いN君に話すことを想定して授業に臨んでいるので要領良く説明をダイジェストします。
「つまり意味のある考え方の拡張なんですね!」彼の眼が輝きました。
後は練習問題,複素数の計算から始めます。こっちは文字式の加減乗除に,お約束の「iの2乗は(-1)」を付け足せば,どんどん計算できます。予想通りN君は詰まることなく問題を解き進めていき,授業の終わりがやって来ました。
「教科書もなしに学校の先生が新しい話を始めたんでチンプンカンプンだったけど今日の授業で分かった。そんなに難しくないね。」
そう言って帰っていったN君。数学の教え方もやり方次第で何とかできるもんだなって実感しました。自分の中でも何かが吹っ切れた感覚を覚えた日となりました。
◇ワンポイント・メッセージ◇
なが~いブログに、皆さまよくお付き合いくださいました。でも古代人の考え方や、数学の歴史の片端、ちょっとおもしろかったのでは?
生徒さんも、訳の分からない数字や文字が並ぶだけの世界から、ぽーんと違う世界に抜け出すことができ、楽しめたのではないでしょうか。生徒さんによっては、時にはこんな授業も良いですね。
・学ぶ目的が理解できること。
・学んでいることの意味内容が理解できること。
ただ「やりなさい」と言われるだけでは全く気持ちの乗らない生徒さんも、自身の中に目的が見い出せると
目を輝かせる。学習の段階は異なっても、これは多くの生徒さんにおいて共通することです。
